今回は平均変化率を求めるのに便利な幾何平均について、例題を用いて分かりやすく解説していきます。
統計検定2級対応問題
2019年11月問3[2], 2018年6月問4
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幾何平均とは
幾何平均: n個の数の積のn乗根。
$$幾何平均=\sqrt[n](x_1+x_2+..+x_n)$$
幾何平均は、成長率や変化率といった比率の平均を求めるのに、用いられます。
平均変化率の求め方
ここからは、幾何平均を使った平均変化率の求め方を、例題を用いて説明していきます。
例題
以下はある会社の5年間の業績です。
年 | 売上(億) |
2015 | 130 |
2016 | 110 |
2017 | 120 |
2018 | 145 |
2019 | 179 |
それぞれの年での前年比は
$$前年比=\frac{今年の売上}{前年の売上}$$
によって、求めることができます。 %で表すには、100倍します。
年 | 売上の変化(前年比) |
2015 | |
2016 | 0.85 |
2017 | 1.09 |
2018 | 1.21 |
2019 | 1.23 |
これが意味するのは、2016年の売上は2015年の売上の85%であるということです。
ここから、平均の変化率を求めていきます。
\(変化率=\frac{今年の売り上げ-前年の売上}{前年の売上}\)
\(=\frac{今年の売上}{前年の売り上げ}-1\)
\(=前年比-1\)
で求めることができます。
よって
\(平均の変化率\)
\(=(前年比の平均)-1\)
\(=\sqrt[4]{0.85 \times 1.09 \times 1.21 \times 1.23}-1\)
\(=1.08-1=0.0836\)
よって平均変化率は0.0836。
これは、2015年から2019年の間で、毎年平均約8%売り上げが上昇している、ということを、意味します。
たしかめ
本当に幾何平均によって、平均変化率が求められているのか、確認してみます。
2015年の売上130億円が約8%ずつ4回増加するので、2019年の売上は\(130 \times 1.0836^4 \)に等しくなるはずです。
(130 \times 1.08364=179.23)
四捨五入によって少しの誤差はありますが、おおよそ同じ数値になりました。
統計検定2級対応問題
2019年11月問43[2], 2018年6月問4
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統計用語集
幾何平均: n個の数の積のn乗根
前年比: \(\frac{今年の売上}{前年の売上}\)
変化率:前年比-1
平均変化率:\(前年比の幾何平均-1\)