統計的検定について怪しい方は、この記事を先に読むことをお勧めします。
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統計的検定の手順
統計的検定では、まず帰無仮説と対立仮説を定めます。帰無仮説が正しいと仮定し、統計量の分布を調べます。ある確率よりも実際の統計量が得られる確率が小さかったとき、対立仮説を採用。そうでないとき帰無仮説を採用します。
母分散の比の検定とは?
ある2つの母集団(A),(B)の母分散(\sigma2_A),( \sigma2_B)が等しいと言えるのかどうか、不偏分散や標本数を使い統計的に検証するのが、この母分散の比の検定です。
母平均や母比率が等しいかどうか検定する際には、母平均・母比率の差について検証しましたが、母分散の場合は比となります。
さらに、母分散の比の検定では、2つの母集団は正規分布に従う必要があります。
1.帰無仮説と対立仮説を立てる。
二つの正規母集団の母分散は等しいというのを前提で、考えていきます。この記事では、両側検定について考えます。
2.帰無仮説が正しいとき、標本から得られる統計量が従う分布を調べる。
(\sigma2A=\sigma2_B)のとき、不偏分散の分布は...
説明
母集団\(A\),\(B\)と、それぞれの標本についての情報を整理します。
母集団 | 母分散 | 不偏分散 | 標本数 |
\(A\) | \(\sigma^2_A\) | \(u_A^2\) | \(n\) |
\(B\) | \(\sigma^2_B\) | \(u_B^2\) | \(m\) |
・(A)について
・(B)について
(この理由については、こちらをご覧ください)
・一方、\(F\)分布は以下のように定義されます。
(詳しくはこちら)
・これに\(A\)と\(B\)についての情報を代入すると…
帰無仮説上では、\(\sigma^2_A=\sigma^2_B\)
よって、\(\frac{\sigma^2_B}{\sigma^2_A}=1\)なので
\(F=\frac{u^2_A}{u^2_B}\) この統計量\(F\)は自由度\((n-1,m-1)\)の\(F\)分布に従う。3.有意水準の決定
有意水準は5%や10%に設定されることが多いです。帰無仮説上で起こる確率が5%/10%より少ないとき、帰無仮説を棄却し、対立仮説を採択します。
4.棄却域の決定
不偏分散の比の分布+有意水準の情報が揃ったとき、棄却域を求めることができます。
5.統計量を求め、棄却域内に入るか検証。
実際に標本から統計量を求め、帰無仮説上でどのくらいの確率で、その統計量になるのか調べます。
検定完了! これで、統計的検定が完了です。