第一種の過誤と第二種の過誤
定義は上のような感じです。例を見て理解しましょう。
例で理解!
どちらの仮説が正しいのか調べるために、
- 標本調査をして、標本平均を求める
- 有意水準5%で上側検定
をします。
統計メモ
起こる確率がある水準(有意水準)より小さい場合、それが起こったのは、偶然ではないと考えます。今回の検定では、有意水準を5%に設定しています。これは、起こる確率が5%より、低いことが起こった場合、帰無仮説は誤っていると判断するという意味です。起こる確率が有意水準以下となる区域を棄却域(帰無仮説を棄却)、それ以外を採択域(帰無仮説を採用)と呼びます。
Case 1: 第一種の過誤を起こしてしまう
調査の結果、標本平均は165cmであることが分かりました。下の図の通り、165cmは棄却域の中(採択域の外)にあるので、帰無仮説を棄却して、対立仮説を採用します。
しかし、その後全国の男子中学生の身長を全数調査したところ、平均は160cmであることが分かりました。
帰無仮説が正しいのにもかかわらず、帰無仮説を棄却して、対立仮説を採用してしまいました。これが第一の過誤です。
検定をする際、第一の過誤を防ぐことは出来ません。これは第一の過誤が起こる確率と有意水準は等しいからです。
検定では起こる確率がある水準(有意水準)より小さい場合、帰無仮説を棄却して、対立仮説を採用すると決めました。しかし、それは起こらないと言っているわけではありません。ある一定の確率(有意水準)で起こります。
上の例では、5%の確率で標本平均が164cm以上になります。たまたま選んだ生徒の身長に偏りがあったりしたときには、標本平均が164cm以上になるということは、起こりうることです。
Case 2: 第二種の過誤を起こしてしまう
調査の結果、標本平均は161cmであることが分かりました。図の通り、161cmは採用域の中に入っているので、対立仮説を棄却して、帰無仮説を採用します。
しかし、その後全国の男子中学生の身長を全数調査したところ、平均は165cmであることが分かりました。
対立仮説が正しいのにもかかわらず、対立仮説を棄却して、帰無仮説を採用してしまいました。これが第二の過誤です。
第二の過誤が起こる確率は、「対立仮説が正しいのに、標本調査の結果が帰無仮説の採用域に入ってしまう確率」。図の斜線部によって表されます。
検出力
第二の過誤は、誤って帰無仮説を棄却する確率でした。なので検出力は上のように求めることができます。図の青い部分によって表されます。