不偏推定量と一致推定量の違い【統計入門】

この記事では、母数を推定するのに使う推定量の性質「不偏性」と「一致性」について、説明しています。後半では推定をする際に、不偏分散を使わないといけない理由を証明しています!
この記事を読む前に!

推定についての知識が怪しい方は、こちらの記事を先に読むことをお勧めします。

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推定と推定量(復習)

推定:標本(標本平均など)から未知な母数(母平均など)を予想すること。 定量:母数を推定するために使う統計量。標本平均など。

標本から推定量を計算し、母数を予測するというのが、推定の流れでした。その中でも、ピンポイントで予想するのが点推定、幅を持たせて予想するのが区間推定です。

定量の性質

どんな統計量でも、母数を推定するのに使えるわけではありません。例えば、標本分散は、母分散を推定するのには向いていません。

ここからは、母数を推定することができる、推定量の条件2つを、紹介していきます。

条件①:不偏性

不偏性:推定量の期待値が、母数に一致する。 $$E(推定量)=母数$$

定量の期待値というのは、何回も標本をとり、統計量を計算したときの平均値を指します。推定量が不偏性を持っているとき、その推定量不偏推定量といいます。

条件②:一致性

一致性:標本の大きさを増やすと、推定量が母数に近く。 \(推定量=母数\) \((n \rightarrow \infty)\)

例えば、日本人の平均身長を求めるとき、標本数を増やせば増やすほど、標本平均は母平均に近づきます。標本数=母集団数まで増やすと、これは日本人全員の身長を調べ平均を求めたことになるので、標本平均は母平均と完全に一致します。推定量が一致性を持っているとき、その推定量一致推定量といいます。

不偏性と一致性。母数を推定するには、この2つの両方を、満たしている必要があります。

母平均、母分散の推定量

ここからは、母平均と母分散の推定量を、不偏性、一致性の有無とともに、紹介していきます。

標本平均

$$標本平均 \overline{X}=\frac{X_1+...+X_n}{n}$$ \(X_1,…,X_n:\) 各標本の値 \(n:\) 標本数

標本平均\(\overline{X}\)は、母平均\(E(X)\)に対して、不偏性と一致性を兼ね備えている推定量推定をするのに適しています

①不偏性

②一致性

標本分散

$$標本分散 s^2=\frac{1}{n}\{(X_1-\overline{X})^2+..+(X_n-\overline{X})^2\}$$

標本分散\(s^2\)は、母分散\(\sigma^2\)に対して、一致性はありますが、不偏性のない定量です。推定をするのには適していません

①不偏性

②一致性

不偏分散

$$不偏分散 u^2=\frac{1}{n-1}\{(X_1-\overline{X})^2+..+(X_n-\overline{X})^2\}$$

不偏分散(u2)は、母分散(\sigma ^2)に対して、不偏性と一致性を兼ね備えている推定量推定をするのに適しています。

①不偏性

②一致性

母分散の推定量→不偏分散

母分散の推定には、偏差の2乗の和を\(n\)ではなく、\(n-1\)で割った、不偏分散を使います。上の通り、標本分散は不偏推定量でなく、母分散を過小評価してしまうからです。

定量の不偏性、一致性まとめ

補足

定量の一致性についての証明は、こちらをご覧ください。

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